ルーツを大切にした料理で喜ばせたい
射水市や高岡市を中心に、インドやパキスタンカレーの文化が独自に発展を遂げている富山県。中でもKHUSHIのようにさまざまな地域のインド料理や魚を扱う店は珍しく、東京を中心に県外からのインドカレーファンも増えてきているそう。
「総曲輪でもインド料理に親しんでくれる人が増えて嬉しいです。インドも国土が広く、日本と同じように地方によって食文化も大きく違います。北インドのナンやロティ、チャパティなどの食文化は日本でも市民権を得ている印象だけど、広まっていない料理もまだまだたくさん。この5年で色々な地方のメニューをつくりましたが、日本人には特に南インド料理の人気が高くて、いろんな種類の野菜や魚を使うメニュー、スパイスを芳醇に使うところが好みに合うのかもしれません。以前はほとんどの方が『ドーサ(※クレープ状の南インド伝統料理)って一体何?』という状態でしたが、最近はリピートしてくれるお客さんも多く、時にはインド人しか知らないようなメニューのリクエストをもらうこともあり、作り甲斐があります。」
好奇心旺盛なアジャさんは、インドへ帰省した際も南インドの多様な朝ごはんや屋台料理を食べ歩き、ますます興味を深めています。
「日本人の味覚に合わせたインド料理に比べるとすこし辛いと感じる方もいるかもしれないけど、なるべく現地と同じ『本場の味』を楽しんでもらうことを大切にしたいです。インドへ訪問した経験のあるお客さんも多く、故郷のことをお客さんとお話しできることも嬉しいです。」
新しい風も取り入れて 次の世代へ
アジャさんが日本に訪れて約20年が経ち、コロナ禍もあって久しぶりにインドへ帰省した際には、インドの変化のスピードに驚いたそう。
「世界中の若い世代はインターネットでたくさんの情報を吸収し、それぞれの興味を探求しています。インドでもストリートフードをはじめ、みたことがない料理がたくさん出てきており食べ歩きの時間がとても刺激になりました。富山の若いゲストにもインドの最新カルチャーを知っている人が増えていて、彼らの興味やリクエストにも料理で応えたいです。」
KHUSHIには若い世代のインド人スタッフも多く、日本語やSNS動画発信などの研究にも励んでいる。外国人観光客から要望の多いベジタリアン向けのメニュー開発や、独自調合したスパイスミックスの販売など、やりたいことは山積みだ。
「富山の四季豊かな自然環境や食材、優しい人たちが多いまちなどは魅力的です。言語や食文化の違いなどハードルはもちろんありますが、インドから富山に来たいという仲間をこれからも受け入れられるよう頑張りたいです。KHUSHIはヒンディー語で『幸せ』や『楽しい』という意味。新しいインド料理も紹介し、県内外からここを訪ねてくれるお客さん、スタッフ達、みんなのKHUSHIを増やせる場所を目指します!」